メモリデータベースのスタート

1980年代に登場したRDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)は、IT環境の変化に歩調を合わせて発展を繰り返して来た結果、企業内情報システムの中核のインフラとして位置付けられるようになりました。一般的にディスクを保存メディアとするRDBMSは、基本的なデータの管理だけでなく、データウェアハウス、データマイニングなど、多くのアプリケーション分野で発展しました。特に、データとアプリケーションを分離するという概念は非常に有用なものであり、DBMSの爆発的な成長をもたらしました。
従来のRDBMSの構造

しかし、ネットワークデバイスや速度の変化などにより、DBアプリケーション環境では高性能なデータ処理が必要とされ始めました。特に、インターネットや移動通信の急成長に伴って急増してきたユーザは、高速で安定的なサービスのリアルタイムでの提供を希望するようになりました。
例えば、インターネット・ポータルサイトやインターネット・ゲームサイトでは、数十万人のユーザが同時に接続することが多くなっていますが、接続するすべてのユーザが高速なサービスの提供を望んでいます。特に、データベースが同時に処理しなければならないトランザクション数が数百件に達する認証システムや、1秒当り15,000件以上のトランザクションを処理しなければならない移動通信分野の加入者位置管理システム(HLR: home location register)では、高速な応答時間とともに多数の同時ユーザに対する拡張性を持ったデータベースが必要とされます。
また、無停止サービスの提供もこれらアプリケーションシステムのデータベースとしての重要な条件の1つです。
オンライン株取引システム、リアルタイム課金システム、ソフトスイッチシステムなどは、どれも24時間体制で持続的なサービスをしなければならない高可用性システムです。
もし、リアルタイム課金システムで障害が発生し、料金の決済ができなくなった場合、企業は大きな損失を被ってしまうことになります。実際に、移動通信分野におけるリアルタイム課金システムは、1秒当り4,000 CDR(Call Data Record)を処理するようにシステムを構築したケースがあります。従って、これらのデータベースアプリケーションシステムは、高い可用性を持つ構造を維持しながら、トランザクションの高速な応答時間を保証しなければなりません。
豊富な機能や便利な運用ツールの提供により、多くのお客様から長い間脚光を浴びてきた従来のRDBMSは、DBアプリケーション環境の変化に伴い性能上の問題に直面しました。
これは、既存のRDBMSが記憶装置としてディスクを使っていることによるもので、頻繁なディスクI/Oの発生によるトランザクション処理性能の低下を避けられなかったためです。
多くのデータベースベンダーは、このような問題を解決するために独自で提供する物理的領域(I/O)と論理的領域(Buffer、メモリ)に対し多大なコストを掛けて、チューニングやアップグレードを試みました。
従来のRDBMSでは、ディスク上のデータをメモリバッファにできるだけ配置しようとしますが、不特定多数のユーザによるアクセスや頻発する全てのトランザクションに対し、全てのデータをバッファ領域に配置するのは困難であり、再びディスクI/Oの性能の限界という問題に直面することになりました。
また、データベースクラスタリングを提供し、障害復旧に備えることにより、可用性は満足させられるようになりましたが、高性能を必要とする分野においては、高速な応答時間や拡張性の問題は依然として課題として残っていました。
このような背景から、データベースのディスクI/Oによる性能の限界をクリアーするため、ディスクよりアクセス速度が優れているメモリを活用したデータベースの議論が始まりました。
(保存メディアの速度レベル:Tape、Drum < Disk < memory < cache < CPU )。
高速処理が必要な通信デバイスや為替変動の処理など、速度に敏感な分野を中心にリアルタイムDBMSの登場の必要性が台頭し始めたのです。